追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています

《3》

 ――いやもうお前、絶対俺のこと好きだろ。

 そのひと言を何度呑み込んだか分からない。
 かなり頑張って堪えていた分、顔には出てしまっていたかもしれない。

 はっきり、端的に、直接。そういうふうに言わなければ、この子にはなにも伝わらない。
 そうしたところで伝わりきらないことさえある。その場合はひたすら繰り返し伝え続けるしかない。

 二年がかりでそう判断して、覚悟を決めたつもりだった。
 それなのに、こういう誘われ方をされるとは露ほども想像していなかった。
 眼中にさえ入れてもらえない暗闇の期間が長すぎたせいか、感覚がおかしくなる。

『まだ好きって言えないんですけど』

 それはもう〝好き〟って言っちゃってるだろ、完全に。違うのか。
 あっさり異性を部屋に入れて、あっさり肌を触らせて、挙げ句の果てにはあっさり押し倒させて……駄目だ、もっとちゃんとガードしてくれ、お前はそういう奴だっただろ。違うのか。

 理解が追いつかない。
 今もそうだ。気怠げに頬を染めた無防備な顔で、こんなに簡単に腕枕を受け入れている。髪を撫でても頬に触れても、拒むどころか心地好さそうに目を細めてばかりいる。
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