追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
あの出張の夜をなぞるようなシチュエーションの中、耳元で囁いても抱き寄せても、柊木は拒まない。
むしろ、そうしてほしいと言いたげに潤んだ目を向けてくる。
俺への気持ちを、彼女は一度も明言していない。だが、それで構わない。
不安が一切ないと言えば嘘になるが、二週間前に本人へ伝えた通り、俺は柊木が自分から言葉にしたくなる日まで待てる。
マンションまでおとなしくついてきた彼女を、玄関に足を踏み入れるや否や、きつく抱き締めた。
「油断、直んねえな。もう何回も言ってんのに」
意地の悪い言葉を選んだ。
柊木は油断なんかしていない。こうなると分かっていて俺についてきた。言葉にされなくても、俺はそうだと知っている。
唇を寄せると、柊木はそれまでの呑気な表情を引き締め、微かに焦りを滲ませた。
「あ……私、歯磨き、しないと」
「どうせちゃんと磨けねえって、こんな酔っ払ってちゃ」
多分、柊木は大して酔っていない。そうと分かっていてわざと告げた。
やはり意地が悪いなと内心で苦笑しながら、口元を押さえる柊木の指に指を絡めた、そのときだった。
にわかにスマホが震え始め、肩が強張る。
むしろ、そうしてほしいと言いたげに潤んだ目を向けてくる。
俺への気持ちを、彼女は一度も明言していない。だが、それで構わない。
不安が一切ないと言えば嘘になるが、二週間前に本人へ伝えた通り、俺は柊木が自分から言葉にしたくなる日まで待てる。
マンションまでおとなしくついてきた彼女を、玄関に足を踏み入れるや否や、きつく抱き締めた。
「油断、直んねえな。もう何回も言ってんのに」
意地の悪い言葉を選んだ。
柊木は油断なんかしていない。こうなると分かっていて俺についてきた。言葉にされなくても、俺はそうだと知っている。
唇を寄せると、柊木はそれまでの呑気な表情を引き締め、微かに焦りを滲ませた。
「あ……私、歯磨き、しないと」
「どうせちゃんと磨けねえって、こんな酔っ払ってちゃ」
多分、柊木は大して酔っていない。そうと分かっていてわざと告げた。
やはり意地が悪いなと内心で苦笑しながら、口元を押さえる柊木の指に指を絡めた、そのときだった。
にわかにスマホが震え始め、肩が強張る。