追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています

《2》

 飲みすぎました、なんて嘘。

 元々、明日も仕事なのに深酒なんかできるような性格ではない。鵜ノ崎さんだって多分そんなことは知っていて、けれど私は嘘だとは告げなかった。
 嘘つきな私は、鵜ノ崎さんに〝酔っ払ってなんかいません〟と自ら明かせない。

 二週間前に鵜ノ崎さんにも直接伝えた、〝好きだと伝えたら追いかけてしまうし嫌われてしまうから言えない〟という私独自のトラウマ。
 それをいまだに深く抱え込んで解決できないまま、私は彼に甘えっぱなしで日々を送り続けている。

 帰り道の私が醜態を晒しながらも笑えていたのは、鵜ノ崎さんの隣で、鵜ノ崎さんとふたりきりで過ごせているのが嬉しくて堪らなかったからだ。
 私がそう思っていることさえも、彼には全部バレているのかもしれない。でもバレる分には構わない。私が、自分から口を割って打ち明けるわけではないからだ。

 私って、本当に狡い。

『油断、直んねえな』

 プライベートの鵜ノ崎さんは、仕事中に比べて少し口が悪くなる。
 それが私の胸をなおさら高鳴らせる。私だけに気を許してくれている感じがするからかもしれない。
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