追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
「なにが気に入らなかった? 人間関係? 給料? それとも残業が多かったとか?」
畳みかけるように問いかけが続く。
半端に口を開きながら、つい勢いに呑まれた。
「ええ、と。気に入らなかった、といいますか……」
酔っ払っているとはいえ、あまりにも興味津々といった様子で訊かれたせいで、話の流れを強引に断ち切っていいのか遠慮を覚えた。
どうしようかな、ちゃんと濁せるかな、とアルコールに鈍った頭を無理に動かす。
でも鵜ノ崎さんになら別に教えても構わないのでは、とも思う。
この二年半、大学時代の私を思い出したような素振りは一度も見ていないし、なによりこの人は信頼の置ける人だという意識もあった。
「あの。学生の、頃に」
「うん」
「まぁその、なんですか、ちょっと嫌な思いをしまして」
「うん。それで?」
「……その事情を知ってる人が、前の職場に中途で入社してきて、当時の……ええと、私にとって、あまり良くない噂を、流されてしまい」
ところどころ言葉を濁した。
例えば〝大学生の頃〟を〝学生の頃〟に、〝すごく嫌な思い〟を〝ちょっと嫌な思い〟に。
曖昧に伝えざるを得ないのは、鵜ノ崎さんを信用できないからではなく、私自身が臆病だからだ。
畳みかけるように問いかけが続く。
半端に口を開きながら、つい勢いに呑まれた。
「ええ、と。気に入らなかった、といいますか……」
酔っ払っているとはいえ、あまりにも興味津々といった様子で訊かれたせいで、話の流れを強引に断ち切っていいのか遠慮を覚えた。
どうしようかな、ちゃんと濁せるかな、とアルコールに鈍った頭を無理に動かす。
でも鵜ノ崎さんになら別に教えても構わないのでは、とも思う。
この二年半、大学時代の私を思い出したような素振りは一度も見ていないし、なによりこの人は信頼の置ける人だという意識もあった。
「あの。学生の、頃に」
「うん」
「まぁその、なんですか、ちょっと嫌な思いをしまして」
「うん。それで?」
「……その事情を知ってる人が、前の職場に中途で入社してきて、当時の……ええと、私にとって、あまり良くない噂を、流されてしまい」
ところどころ言葉を濁した。
例えば〝大学生の頃〟を〝学生の頃〟に、〝すごく嫌な思い〟を〝ちょっと嫌な思い〟に。
曖昧に伝えざるを得ないのは、鵜ノ崎さんを信用できないからではなく、私自身が臆病だからだ。