追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
 動画の件、そして彼女のホーム画面の顔が頭から離れない。
 仕事モードの私がこんなにも業務に集中できないなんて、自分でも信じられなかった。

 今日中に済ませておきたい業務をなんとか片づけた後、田口さんから声をかけられて彼の業務のサポートに回った。
 合間に「少し休憩しましょうか」と提案されたタイミングで、ゴシップ好きの田口さんと話せばなにかヒントが得られるかも、と思う。

 田口さんは以前、レミと私が似ていると呟いていた。
 それを思い出したからという理由もあった。

「田口さん。前に、モデルのレミ……さんのお話、されてましたよね」
「あっ、しましたねえ!」

 私からゴシップ的な話題を振るのは珍しいからか、田口さんは「あはは」と楽しげな笑い声をあげる。

「僕めっちゃ好きなんですよ~レミちゃん! 最近だと化粧品のCMとか出てますよね、てかどうしたんですか急に?」
「いや、その、今朝たまたま見かけたもので」

 詳細は濁した。田口さんは口が軽いから、濁さざるを得ない。
 案の定、私の返事を聞いた途端、田口さんは声を弾ませた。

「ええっいいなあ! どこでですか、僕も会いたい!」
「いや、会ったとかではなくて……騒ぐのもご迷惑ですよ」
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