追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
 あの男。
 上品に振る舞う彼女の口から急に飛び出した乱暴な言葉に、私はまた分かりやすくぎょっとする。

 やはりレミさんは、鵜ノ崎さんとの関係を修復したがってはいない。
 では、彼女はなにに執着しているのか。

 派手な髪色から最近イメチェンしたロングの黒髪。そして〝アユカさんメイク〟という彼女自身の言葉。
 もしかして、この人が執着しているのは。

 息をひそめた私の正面で、レミさんは再び口を開く。

「鵜ノ崎は駄目ですよ」
「あ、あの」
「アユカさんって昔、変な男に騙されてたこと、あるでしょ?」

 ひく、と喉が震える。

「そういう連中と一緒です。あんな男、アユカさんにはふさわしくない」
「それは……どういう、意味でしょう」
「そのままの意味です」

 声が震える。
 手も、足も、肩も。

「お願いですアユカさん。別れて、鵜ノ崎統弥と」

 間違いない。
 この人が執着しているのは、私だ。

「そうしてくれないなら、あの動画、駅で言った通り〝鵜ノ崎とあたし〟っていう体でインスタに載せます」
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