追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
第8話 夜が明けるまで、この部屋でふたりきり
《1》
息が詰まる、じっとりとした沈黙だった。
もっとも、息を詰めていたのは私だけなのかもしれなかった。
ほどなくしてレミさんの頼んだサンドイッチが運ばれてきて、スタッフが背を向けて席を外したと同時に、彼女は口火を切った。
「あたしのこと、アユカさんは覚えてなくて当然です。直接話したこともないですし」
小さなサンドイッチをつまみながら、彼女の唇は軽やかに動く。
「大学の後輩なんです、あたし。三期下です」
あまり顕わな態度は取りたくなかったけれど、眉が寄る。
三期下。覚えがない。覚えがないというのは相手に対してかなり失礼なのでは。でも、この人は『覚えてなくて当然』と言い切った。
いろいろな考えがごちゃごちゃと巡っては渦を巻き、ますます息が詰まる。
レミさんのサンドイッチの食べ方は、手掴みなのにひどく上品に見えた。物を食べる口元を凝視するのは不躾だと分かっていても、なんだか目が離せない。小さなサンドイッチはあっさりと彼女の口に収まり、ほどなく食事を終えたレミさんが話を再開する。
「入学してすぐの頃にたまたま見かけたんです。言い寄ってきてた男の人を、アユカさんが振ってるところ」
もっとも、息を詰めていたのは私だけなのかもしれなかった。
ほどなくしてレミさんの頼んだサンドイッチが運ばれてきて、スタッフが背を向けて席を外したと同時に、彼女は口火を切った。
「あたしのこと、アユカさんは覚えてなくて当然です。直接話したこともないですし」
小さなサンドイッチをつまみながら、彼女の唇は軽やかに動く。
「大学の後輩なんです、あたし。三期下です」
あまり顕わな態度は取りたくなかったけれど、眉が寄る。
三期下。覚えがない。覚えがないというのは相手に対してかなり失礼なのでは。でも、この人は『覚えてなくて当然』と言い切った。
いろいろな考えがごちゃごちゃと巡っては渦を巻き、ますます息が詰まる。
レミさんのサンドイッチの食べ方は、手掴みなのにひどく上品に見えた。物を食べる口元を凝視するのは不躾だと分かっていても、なんだか目が離せない。小さなサンドイッチはあっさりと彼女の口に収まり、ほどなく食事を終えたレミさんが話を再開する。
「入学してすぐの頃にたまたま見かけたんです。言い寄ってきてた男の人を、アユカさんが振ってるところ」