追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
 尋ねているというよりは確認している、そんな鵜ノ崎さんの言葉を最後に、しんと室内の空気が静まり返った。
 漂う空気ごと冷えた気がして、息が震える。

「お祖母さん、『無理に押しつけちゃったかも』ってあんたのこと心配してたよ。鵜ノ崎の息子がいいって急に言い出したけど嘘なのかも、って勘づいてもいた」
「……るさい……」
「いいか、聞け。柊木はあんたを選ばない。絶対に」

 いつしかレミさんは、血色が分からなくなるほどきつく唇を噛み締めていた。
 鵜ノ崎さんの断言を聞いた途端、彼女の表情がひと息に歪む。

「うるさいんだよ! アユカさんは渡さないから!」
「柊木はモノじゃない。柊木は俺が好き、俺も柊木が好き、あんたが理解すべきなのはそれだけだ」

 静寂に包まれていた空気が一変する。
 感情も顕わに叫ぶレミさん、淡々と喋りながらも額に血管を浮かせている鵜ノ崎さん、そのどちらからも目が離せない。

「泣いても喚いても、駄目なものは駄目だ。分かれ」

 私の腕を握る鵜ノ崎さんの手のひらは熱い。声も震えている。
 顔を見れば分かる。感情が沸騰している。そのせいで体温まで上がっているのかもしれない。
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