追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
「ふん、隙だらけなんだよあんた。ダッサいの」
「この……っ」
「お、落ち着いて鵜ノ崎さん、私されてない、なにもされてないですから!」

 今にもレミさんに掴みかかりそうな勢いだ。
 目を血走らせてレミさんを睨みつける鵜ノ崎さんの腕に、私は全力で掴まって動きを遮った。

 そんな私たちを一瞥した後、レミさんはゆっくりと立ち上がる。
 鵜ノ崎さんに真正面から向き合った彼女は、声を低めて再び口を開いた。

「あたしのアユカさん、傷つけたら絶対許さない。そんなことになったら追いかけ尽くして奪ってやる」

 レミさんこそ、鵜ノ崎さんの胸倉に今にも掴みかかりそうな声だった。

「ほんと興醒め。もう帰って」

 低く零したレミさんは、それきり私たちから一切の関心を失くしたかのようにスタッフルームに向かって歩き出す。

 最後に見えた彼女の横顔は、まだ涙目に見えた。
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