追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に溺愛されています
エピローグ
 ゆっくりと意識が浮上する。
 瞼を開き、カーテン越しの日差しに目を刺されて朝の訪れを理解した。間を置かず、自分が寝転がっているマットレスとシーツの感触が自宅のそれとは違うと気づく。

 昨晩の記憶が、バチンと弾けて蘇った。
 起き抜けだというのに、見る間に顔が火照り始める。

 信じられないくらい情熱的に愛されてしまった。
 何度も肌を重ねているし、今まで情熱的でなかったことはないはずなのに、昨晩は言い表しようがないほどの熱に焦がされた気がする。

 その証拠に、思い通りに身体が動かなかった。
 怠いし重い。けれど、怠さも重さも、どこまでも甘くて心地好い。

 窓の眩しさに思わず目を細めたそのとき、横向きの身体の背中側から声がかかった。

「おはよう」

 ひゅ、と息が止まる。
 後ろから髪を撫でる指の感触が、私に昨晩の記憶を生々しく蘇らせる。ひとつのベッドだから逃げ場があるわけでもなく、赤くなっているだろう顔に新たな熱が集中する。

 なかなか振り返れない。
 赤く染まった顔を見られたくない羞恥と、昨晩の一部始終が夢ではなかった証拠が欲しいと願う気持ちが対立して、結局は羞恥が根負けした。
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