追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に溺愛されています
「おはよう、ございます……」

 思っていたよりもずっと掠れ気味の細い声を落としながら、そっと振り返る。

「真っ赤。可愛い」
「か、可愛くないです」
「いや可愛い」
「いや可愛くな……ふふ、なんですかこの流れ」

 ムキになって言い返すと、ムキになって言い返される。
 繰り返していたらつい笑ってしまって、その笑い声を閉じ込めるようにして唇を塞がれた。

「腹減ったな。なんか作るか」
「あ、私も手伝います」
「いや寝てていいよ、昨日無理させたし」
「しっ、してないです無理なんて!」

 またムキになってしまう。
 けれど、起き上がろうとした瞬間にかくんと膝から力が抜け、堪らず素っ頓狂な声が漏れた。

「えっ……?」

 なんでだ。本当に力が入らない。
 困惑に目を瞠っていると、鵜ノ崎さんと目が合った。気の毒そうに笑いかけられ、羞恥のあまりふるふると唇が震える。
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