追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に溺愛されています
 テーブルの上には、すでにふたり分の食事が並んでいた。
 香ばしく焼けたトーストにバターとジャム、サラダもある。湯気の上るコーンスープの匂いがことさら空腹を刺激する。向かい合わせに腰を下ろし、一緒に手を合わせて「いただきます」をして食べ始めた。

 以前なんの気なしに訊かれて答えた、私の好きなブルーベリージャムが用意されている。
 嬉しい気持ちと擽ったい気持ちが混ざり合って、温かく胸が満たされていく。

「……昨日は」

 微かに痛む喉に温かなコーンスープを流し込み、優しい味を噛み締めていると、食事の手を止めた鵜ノ崎さんが言いにくそうに切り出してきた。

「嘘をついて悪かった」
「嘘?」
「京都の話」
「あ」

 金曜に有休を取り、土曜にかけて京都へ向かうと聞いていた件だ。
 理解が届き、私は静かに俯く。

「わざわざ言わないほうが、余計な心配をかけずに済むと思って……良くなかった。ごめんな」
「い、いえ。私もレミさんの動画の件、脅しと大して変わらなかったのに、相談もしないで勝手に動いてしまいました。だって」

 一瞬言い淀んだけれど、結局は口を開く。
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