追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
「大丈夫だ。もしここで吐いても、俺は柊木のこと、絶対見捨てない」

 堪らず、私は目を細めた。
 眩しい。酔っているせいか、鵜ノ崎さんが物理的に光り輝いて見える。

「なんですかこんな廊下の真ん中で急にそんな……痺れる」
「本気でヤバそうだな、抱えようか」
「駄目、今揺らされたら絶対吐くからそれは駄目です本当……」

 しょうもない話をしている間は、かなり気が紛れる。
 私を気遣って喋り続けてくれているのだとしたら、鵜ノ崎さんはやっぱりすごい。

 客室に辿り着いて靴を脱いだ。というより、介護よろしく脱がされた。
 パンプスから足が解放された途端、ぐにゃん、と身体中の骨が溶けたみたいな倒れ方をしたことまでは覚えている。

 残念ながら、それ以降の記憶は露ほども残っていない。
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