追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
     *


 なんとなく眩しい気がして、目が覚めた。

 枕の上、頭だけを動かして明るさの発信源へ目を向ける。
 窓だ。カーテン越しに日が差している。カーテンも窓も、自宅アパートのものではない。ああ、ここってホテルの部屋か、とやっと理解が追いついてくる。

 でもおかしい。
 いつ寝たっけ、私。

 寝転がったきりで腕を持ち上げ、額を押さえた。
 異常なくらい頭が痛い。その理由が昨晩たらふく飲んだお酒だと思い至り、目を見開いたその瞬間、低い声が耳を掠めた。

「おはよう」

 ひゅ、と喉が不穏な音を立てて鳴る。

「……え?」

 挨拶を返している余裕はなかった。
 あり得ない。その声の主が、起き抜けに聞こえてくるはずはない。

 ごく一般的なビジネスホテルのシングルルーム、鏡の前に備えつけられた椅子に座る彼――鵜ノ崎さんは、ただじっと私を見つめていた。
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