追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
これ以上はよけられない。観念した私は動きを止め、深く俯いた。
鵜ノ崎さんは黙ったきりだ。私から答えを聞くまで、もう自分からは喋らないつもりなのかもしれなかった。
再びたっぷりと落ちた沈黙の中、目を泳がせながら、私はなんとか口を開く。
「エレベーターに乗って、酔いがひどくなって」
「うん」
「気持ち悪くて、吐きそうかもってお伝えして」
「合ってる。その後は?」
「部屋に入って、靴を脱い……脱がせていただいて、あとは、なにも覚えていません」
震える声で答え、さらに深く俯く。
シャツの合わせ目を一層きつく握り締める。どうして胸元のボタンが外れている? それに、ジャケットはいつ脱いだ?
「鵜ノ崎さんは、その、どうしてこの部屋に?」
「放してもらえなかった」
「放し……私に? ですか?」
「ああ。ひと晩中」
ぐら、と眩暈がした。
酔った私は、醜態を晒した上に、鵜ノ崎さんに迷惑をかけたのだ。ひどく痛む頭の理由は、二日酔いが引き起こす体調不良とはとっくに一線を画していた。
鵜ノ崎さんは黙ったきりだ。私から答えを聞くまで、もう自分からは喋らないつもりなのかもしれなかった。
再びたっぷりと落ちた沈黙の中、目を泳がせながら、私はなんとか口を開く。
「エレベーターに乗って、酔いがひどくなって」
「うん」
「気持ち悪くて、吐きそうかもってお伝えして」
「合ってる。その後は?」
「部屋に入って、靴を脱い……脱がせていただいて、あとは、なにも覚えていません」
震える声で答え、さらに深く俯く。
シャツの合わせ目を一層きつく握り締める。どうして胸元のボタンが外れている? それに、ジャケットはいつ脱いだ?
「鵜ノ崎さんは、その、どうしてこの部屋に?」
「放してもらえなかった」
「放し……私に? ですか?」
「ああ。ひと晩中」
ぐら、と眩暈がした。
酔った私は、醜態を晒した上に、鵜ノ崎さんに迷惑をかけたのだ。ひどく痛む頭の理由は、二日酔いが引き起こす体調不良とはとっくに一線を画していた。