追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
「ただいま戻りました」

 シャワーを浴びて部屋に戻ってきた柊木は、大変キチッとしていた。
 髪は綺麗に乾いていたし、化粧もしっかり整えられていたし、職場で見る彼女と寸分変わらなかった。

 ああ、これはまったく理解されていない流れだな、と察した。
 その程度なら分かる。伊達に二年、この人をずっと見つめてきていない。

「先ほどの件ですが」
「あ、はい」
「お引き受けします。意中の方がいらっしゃるのに縁談なんて困りますよね、精一杯頑張りますのでどうぞよろしくお願いします!」

 深々と腰を折られ、噴き出しそうになった。
 意中の方……お前のことなんだけど、という言葉が喉まで出かかったが、プライドが邪魔して結局は呑み込んだ。
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