追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています

《2》

『恋人になってほしい』

 あの衝撃的な朝の一件から、三日が過ぎた。
 精一杯頑張ります、と返事をした私を見つめ返す鵜ノ崎さんは、口では『よろしく頼む』と言いながらも、なんとも言えない曖昧な表情をしていた。

 なんだろう、あの顔。私では不足なのか。

 いや、そんなはずはない。彼は『柊木にしか頼めない』と言った。あれはもう、仕事人間にとっては殺し文句だ。誇らしい限りだ。
 こうなった以上、私は最善を尽くして鵜ノ崎さんの期待に応えなければならない。

『好きな子がいるから踏ん切りがつかなくて』
『その子には何度もアプローチをかけてるけど、ずっと脈ナシなんだ』

 いつかの相談内容が蘇る。
 鵜ノ崎さんは、好きな人がいるから縁談を避けたくて、だから一定の信頼がある私に恋人係を頼んだ。そういうことなのだろう。

 本当なら、その好きな人本人に頼みたかったに違いない。
 それもふりなんかではなく、本物の恋人になってほしい、と。

 ……それにしても、あの鵜ノ崎さんになびかないだなんて、相手は相当な強者だ。
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