追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
通話が終わったみたいだ。
新たなランプの点灯がないことを確認してから、私は社長室のドアをノックする。
「失礼いたします。今、お時間よろしいでしょうか」
「ああ。経理関連?」
「はい。田口さんからこちらとこちらの二点、本日中に承認をいただきたいと」
デスクまで近づきながら報告をする。
そのさなか、田口さんからの書類を手渡すタイミングで指が微かに触れ、露骨なほど派手に震えてしまった。
「どうした?」
「い、いえ。失礼しました」
平静を装った。少なくとも装ったつもりだ。
本当にどうしてしまったんだろう。ここ数日、自分だけが無駄に意識している気がしてならない。当の鵜ノ崎さんは、以前となにも変わらないのに。
あの夜、そして翌朝にホテルで起きた一部始終を思い返すたび、すべてが私の見た夢だったのではないかと思えてくる。
緊張から解放された直後の二日酔い……異常な夢を見そうな条件は無駄に揃っている。でも。
唇を噛みそうになったタイミングで、鵜ノ崎さんの携帯が着信音を響かせ始めた。
新たなランプの点灯がないことを確認してから、私は社長室のドアをノックする。
「失礼いたします。今、お時間よろしいでしょうか」
「ああ。経理関連?」
「はい。田口さんからこちらとこちらの二点、本日中に承認をいただきたいと」
デスクまで近づきながら報告をする。
そのさなか、田口さんからの書類を手渡すタイミングで指が微かに触れ、露骨なほど派手に震えてしまった。
「どうした?」
「い、いえ。失礼しました」
平静を装った。少なくとも装ったつもりだ。
本当にどうしてしまったんだろう。ここ数日、自分だけが無駄に意識している気がしてならない。当の鵜ノ崎さんは、以前となにも変わらないのに。
あの夜、そして翌朝にホテルで起きた一部始終を思い返すたび、すべてが私の見た夢だったのではないかと思えてくる。
緊張から解放された直後の二日酔い……異常な夢を見そうな条件は無駄に揃っている。でも。
唇を噛みそうになったタイミングで、鵜ノ崎さんの携帯が着信音を響かせ始めた。