追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
鵜ノ崎さんのお父様は、精密機器業界屈指の規模を誇る〝鵜ノ崎グループ〟の会長だ。
そんなすごい人が『お父さんです』……意外すぎて驚きの顔からなかなか元に戻れない。
私の露骨な反応のせいか、鵜ノ崎さんはかなり気まずそうに顔をしかめている。
家族のプライベートを覗く形になってしまって申し訳ないなと思いつつ、改めてとんでもない通話に同席させられていると思い知らされ、慄いてしまう。安易にスピーカー対応にして良さそうな相手でも内容でもなさそうで、ぞっと背筋が粟立った。
続いたお父様の話は、案の定、完全にプライベートな話題だった。
『先日話した鈴ヶ嶺さんのお孫さんとのね、見合いの件なんだが』
「はい」
淡々と応じる鵜ノ崎さんと視線がかち合う。
どういう顔をしていればいいのか分からない。ただ、私をこの場に留めたということは、鵜ノ崎さんはこの通話を私にも聞かせたいのだろう。これは単に直接的な情報共有だ、と自分に言い聞かせながら、私はふたりの会話に耳をそばだてる。
『正式にお断りしたからねぇ。取り急ぎ、お前にも連絡しとこうかなって思って』
「それは良かった。ありがとうございます」
私の手を掴んだきり、鵜ノ崎さんは淡々と電話口へお礼を告げる。
そんなすごい人が『お父さんです』……意外すぎて驚きの顔からなかなか元に戻れない。
私の露骨な反応のせいか、鵜ノ崎さんはかなり気まずそうに顔をしかめている。
家族のプライベートを覗く形になってしまって申し訳ないなと思いつつ、改めてとんでもない通話に同席させられていると思い知らされ、慄いてしまう。安易にスピーカー対応にして良さそうな相手でも内容でもなさそうで、ぞっと背筋が粟立った。
続いたお父様の話は、案の定、完全にプライベートな話題だった。
『先日話した鈴ヶ嶺さんのお孫さんとのね、見合いの件なんだが』
「はい」
淡々と応じる鵜ノ崎さんと視線がかち合う。
どういう顔をしていればいいのか分からない。ただ、私をこの場に留めたということは、鵜ノ崎さんはこの通話を私にも聞かせたいのだろう。これは単に直接的な情報共有だ、と自分に言い聞かせながら、私はふたりの会話に耳をそばだてる。
『正式にお断りしたからねぇ。取り急ぎ、お前にも連絡しとこうかなって思って』
「それは良かった。ありがとうございます」
私の手を掴んだきり、鵜ノ崎さんは淡々と電話口へお礼を告げる。