追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
『構いません 行けます』

 急いで走り書きしたそのページを見た鵜ノ崎さんが、大きく目を瞠る。

「……少しお待ちください」
『はーい。あれっ、存在しない恋人、今もしかして隣に存在してる?』
「うるっせえなクソジジイが。おい正気か柊木、今夜だぞ? 今何時だと思って……」

 気心の知れた家族にはいつもそんな感じなんだろうか、結構口がお悪い。
 スマホのマイク部分を指で押さえながら深刻そうな声で尋ねてきた鵜ノ崎さんへ、私は表情を引き締めて頷き返した。

「……さすが」

 苦笑を浮かべ、鵜ノ崎さんは音漏れを防いでいた指をスマホから外した。

「分かりました。本人から了承が取れましたので、後ほど。ただし」
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