追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
第3話 白波に風、嘘をたゆたう偽の恋人

《1》

 好きな人がいるのに、そんなふうに私なんかを誘って大丈夫なんですか――とは結局訊けずじまいで、あれよあれよと次の休日。

「い、いかがでしょうか」

 時刻は、午前十一時を過ぎたところだ。
 選んだ衣服を身にまとい、試着室を出て鵜ノ崎さんに声をかける。いろいろ試着を経て、ミントグリーンと白を貴重にした花柄のワンピースを選んだ。

 こういう服を選ぶのは初めてかもしれない。
 出社日にはいつもパンツスーツを着ているし、クローゼットの大半を占めているのもモノクロ中心の地味な衣服だ。
 夜に仕事で宴席へ出向く際などにはドレスを着ることもあるけれど、それもドレスコードが求められる場合のみ、しかも手持ちは控えめなドレスばかりだ。

 ミントグリーンのヒールパンプスに白いリボンが編み込まれた、ワンピースと揃いの靴。これも、自分が選ぶにしては可愛らしすぎる気がする。
 靴もアクセサリーも、一式、揃いの品を勧められるまま合わせた。確かにワンピースには合っているけれど、私に似合っているかどうかは自信がない。

 でも。
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