追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
「教えてほしい。俺のことも、もっと知ってくれると嬉しい」
船のエンジン音が響く中、その言葉は妙にはっきりと私の耳に届いて、思わず顔を上向ける。
さっき感じたちりちりと灼くような胸の痛みはどんどん広がって、収拾がつかなくなりそうで、私はそれをどうにかしたいためだけに口を開いた。
「好きな人がいるのに、いいんですか。そんな不誠実なこと言って」
何日も気に懸かっていた、もっと言うならモヤモヤと心を這い続けていた疑問が、ぽつりと口から溢れた。
鵜ノ崎さんは一瞬目を見開いて、それからやっとなんの件か思い出したとばかり、「あー」と苦笑いを零す。
「もう忘れて。その話」
「あっ……」
その回答が意味するところを察し、私は「すみません」と慌てて謝罪を告げた。
いかにも気まずそうな、終わった話だからとでも言いたげな口ぶりだった。つまり鵜ノ崎さんは、意中の女性とうまくいかなかったのだろう。
元々〝脈ナシ〟だと本人も明言していたわけで、私に恋人係を頼んできた時点で察するべきだったのかもしれない。
今の質問で心の傷を不用意に抉ってしまったかも、と罪悪感に襲われつつ、頭の中で急いで言葉を選ぶ。
船のエンジン音が響く中、その言葉は妙にはっきりと私の耳に届いて、思わず顔を上向ける。
さっき感じたちりちりと灼くような胸の痛みはどんどん広がって、収拾がつかなくなりそうで、私はそれをどうにかしたいためだけに口を開いた。
「好きな人がいるのに、いいんですか。そんな不誠実なこと言って」
何日も気に懸かっていた、もっと言うならモヤモヤと心を這い続けていた疑問が、ぽつりと口から溢れた。
鵜ノ崎さんは一瞬目を見開いて、それからやっとなんの件か思い出したとばかり、「あー」と苦笑いを零す。
「もう忘れて。その話」
「あっ……」
その回答が意味するところを察し、私は「すみません」と慌てて謝罪を告げた。
いかにも気まずそうな、終わった話だからとでも言いたげな口ぶりだった。つまり鵜ノ崎さんは、意中の女性とうまくいかなかったのだろう。
元々〝脈ナシ〟だと本人も明言していたわけで、私に恋人係を頼んできた時点で察するべきだったのかもしれない。
今の質問で心の傷を不用意に抉ってしまったかも、と罪悪感に襲われつつ、頭の中で急いで言葉を選ぶ。