追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
胸の奥が、もうずっとヒリヒリしている。
私、もしかしてその女の人が羨ましいのでは――鵜ノ崎さんの横顔が、くらりと眩暈に霞んで見えにくくなる。
「そういうこと、柊木はないのか?」
再び見つめられ、私は彼から分かりやすく目を逸らした。
そういうこと、とぼそぼそ繰り返して言葉を濁す。視線を外した後も、じっと見つめられていると分かってしまう。
どうやら、答えを口にするまで私に逃げ場はなさそうだ。
観念して口を開く。
「私は……結婚、どころか、誰かを好きになること自体、もう」
「なんで? 酒巻のせい?」
言葉の途中で切り込まれ、ぎくりと背が震える。
酒巻。懐かしさすら覚える、それでいて今も私の心に暗い影を落とし続けているその名が、鵜ノ崎さんの口から当たり前のように飛び出した――その事実をすぐには受け入れられない。しばらく鵜ノ崎さんを見つめ返したきり、なにも言えなかった。
なんで、とは思わなかった。思わなかったけれど、勝手に裏切られた気分になる。
この人があの公開処刑を記憶していないからこそ、私はこの人の隣で安心して働いていられたのに。
私、もしかしてその女の人が羨ましいのでは――鵜ノ崎さんの横顔が、くらりと眩暈に霞んで見えにくくなる。
「そういうこと、柊木はないのか?」
再び見つめられ、私は彼から分かりやすく目を逸らした。
そういうこと、とぼそぼそ繰り返して言葉を濁す。視線を外した後も、じっと見つめられていると分かってしまう。
どうやら、答えを口にするまで私に逃げ場はなさそうだ。
観念して口を開く。
「私は……結婚、どころか、誰かを好きになること自体、もう」
「なんで? 酒巻のせい?」
言葉の途中で切り込まれ、ぎくりと背が震える。
酒巻。懐かしさすら覚える、それでいて今も私の心に暗い影を落とし続けているその名が、鵜ノ崎さんの口から当たり前のように飛び出した――その事実をすぐには受け入れられない。しばらく鵜ノ崎さんを見つめ返したきり、なにも言えなかった。
なんで、とは思わなかった。思わなかったけれど、勝手に裏切られた気分になる。
この人があの公開処刑を記憶していないからこそ、私はこの人の隣で安心して働いていられたのに。