追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
過ぎた時間はどうあがいても戻せない。
絶対に取り返せないものにまで、こうして激しく苛ついてしまう。
『うーん。他人から変に恨まれやすい子なら、お前が大変になるだけじゃないか?』
父の言い分が分からないわけではない。独立して家を離れた息子を、今の立ち位置から彼なりに心配してくれている。
それは分かる。理解だけはできる。だが。
「どうでしょうね。けど、あなたの奥さんも結構周りから勝手に恨まれやすいタイプじゃないですか? それでも手放したくないでしょ、それとだいたい同じですよ」
『痛いとこ突いてくるねぇ、ちゃんとお母さんって呼びなさいよ。ほ~んともう、ちょっと前まであんなに可愛い坊やだったのに!』
悔しそうに言われ、電話越しにもはっきり聞こえるように大きく舌打ちを返した。
柊木は分かっていただろうか。この狸は、夕方のあの通話がスピーカー設定にされて筒抜けだったことくらい、当たり前に察している。
誰に聞かれているか分からない状況では、他人に聞かれて困る話はそもそもするべきではない。そういうものであり、巨大な企業グループを総括する父はそうした状況に慣れきっている。
絶対に取り返せないものにまで、こうして激しく苛ついてしまう。
『うーん。他人から変に恨まれやすい子なら、お前が大変になるだけじゃないか?』
父の言い分が分からないわけではない。独立して家を離れた息子を、今の立ち位置から彼なりに心配してくれている。
それは分かる。理解だけはできる。だが。
「どうでしょうね。けど、あなたの奥さんも結構周りから勝手に恨まれやすいタイプじゃないですか? それでも手放したくないでしょ、それとだいたい同じですよ」
『痛いとこ突いてくるねぇ、ちゃんとお母さんって呼びなさいよ。ほ~んともう、ちょっと前まであんなに可愛い坊やだったのに!』
悔しそうに言われ、電話越しにもはっきり聞こえるように大きく舌打ちを返した。
柊木は分かっていただろうか。この狸は、夕方のあの通話がスピーカー設定にされて筒抜けだったことくらい、当たり前に察している。
誰に聞かれているか分からない状況では、他人に聞かれて困る話はそもそもするべきではない。そういうものであり、巨大な企業グループを総括する父はそうした状況に慣れきっている。