野いちご源氏物語 五一 浮舟(うきふね)
宮様は「占いによって二日間謹慎中」ということになっているので、翌日もゆっくりとお過ごしになる。
お互いのご愛情はどんどん深まっていく。
山荘に残った右近は、他の女房たちにそれらしい嘘をついて、女君の着物を送った。
浮舟の君は乱れた髪をとかせ、華やかな着物に着替える。
右近は、適当な格好でお供をした侍従のために、あらたまった着物も入れてくれていた。
「裳」といって、女房が主人の前に出るとき腰の後ろに着けるものよ。
侍従が宮様のところに上がると、宮様はその裳を外させて、女君に着けさせなさる。
浮舟の君は女房風の格好になった。
宮様はそのまま女君に洗面のお手伝いをさせなさる。
<姉君の女一の宮様にこの人を差し上げたら、かわいらしい女房だとおよろこびになるだろう。姉君のところには高い身分出身の女房が多いが、これほどの美人はいない>
どれほど情熱的にお愛しになっても、やはり宮様も薫の君と同じね。
地方長官の継娘として育った浮舟の君を、お心のどこかで見下していらっしゃる。
中君や夕霧大臣様の姫君のような、立派な奥様たちがお相手ではできない悪ふざけがある。
そういうお戯れを浮舟の君にはなさって、夜までお過ごしになった。
「すぐにこっそり都に呼ぶから、それまで薫の君には会わないでおくれ」
とんでもないことを宮様がおっしゃるから、浮舟の君は何も言えず、苦しい涙を流す。
<目の前に私がいても、気持ちは移らないのか>
宮様もお胸が痛い。
恨んだり泣いたりしてから、深夜に女君を連れて山荘にお帰りになった。
行きと同じように、宮様は女君を抱きかかえてご移動なさる。
「あなたが深く愛している薫の君は、こんなことはしてくれないでしょう」
宮様がささやかれたので、浮舟の君は<たしかに>と思って素直にうなずく。
それがまたかわいらしい。
山荘では右近が待ちかねていて、他の女房たちに気づかれないように戸を開けた。
浮舟の君を右近に任せると、宮様はそのままお帰りにならなければいけない。
<まだまだ物足りない>
とお思いになる。
お互いのご愛情はどんどん深まっていく。
山荘に残った右近は、他の女房たちにそれらしい嘘をついて、女君の着物を送った。
浮舟の君は乱れた髪をとかせ、華やかな着物に着替える。
右近は、適当な格好でお供をした侍従のために、あらたまった着物も入れてくれていた。
「裳」といって、女房が主人の前に出るとき腰の後ろに着けるものよ。
侍従が宮様のところに上がると、宮様はその裳を外させて、女君に着けさせなさる。
浮舟の君は女房風の格好になった。
宮様はそのまま女君に洗面のお手伝いをさせなさる。
<姉君の女一の宮様にこの人を差し上げたら、かわいらしい女房だとおよろこびになるだろう。姉君のところには高い身分出身の女房が多いが、これほどの美人はいない>
どれほど情熱的にお愛しになっても、やはり宮様も薫の君と同じね。
地方長官の継娘として育った浮舟の君を、お心のどこかで見下していらっしゃる。
中君や夕霧大臣様の姫君のような、立派な奥様たちがお相手ではできない悪ふざけがある。
そういうお戯れを浮舟の君にはなさって、夜までお過ごしになった。
「すぐにこっそり都に呼ぶから、それまで薫の君には会わないでおくれ」
とんでもないことを宮様がおっしゃるから、浮舟の君は何も言えず、苦しい涙を流す。
<目の前に私がいても、気持ちは移らないのか>
宮様もお胸が痛い。
恨んだり泣いたりしてから、深夜に女君を連れて山荘にお帰りになった。
行きと同じように、宮様は女君を抱きかかえてご移動なさる。
「あなたが深く愛している薫の君は、こんなことはしてくれないでしょう」
宮様がささやかれたので、浮舟の君は<たしかに>と思って素直にうなずく。
それがまたかわいらしい。
山荘では右近が待ちかねていて、他の女房たちに気づかれないように戸を開けた。
浮舟の君を右近に任せると、宮様はそのままお帰りにならなければいけない。
<まだまだ物足りない>
とお思いになる。