ひとつの月とふたつの太陽〜正しくない恋のやり方〜
「たしかに。いいですね。それをベースに、あとは応用できる仕組みを作ればいいか」

柳さんの声は柔らかくも、驚きが混じっている。多分、急に話を振ったのに答えられたからだろう。

周囲の人達も、柳さんの言葉を聞いて、感心したように頷いた。

そして、その後柳さんは、視線をしっかり絡め、ふっと微笑む。

(……え、なに?その表情。
てか、どういうつもりで私に話題振ったの?)

なぜか、その表情に心がざわつき、思わず目を逸らした。

今まで業務連絡以外ほとんど絡みがなかった彼に、こうして、視線を絡められるなんて予想していなかった。

* * *

――会議の後。

私は手元の資料をまとめ、会議室の扉を抜け廊下に出た。

やっと終わった、という安堵と同時に、頭の中はもう別のことでいっぱいだ。
あと二時間で旭と会える。

そのことを思い出すだけで、足取りが少し軽くなる。

と、そのとき。

「柏木さん」

背後から、声をかけられる。

振り向くと、そこには柳燈璃が立っていた。
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