完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

完璧王子の裏の顔


――SIDE Kanon


さっきまでの出来事が、頭の中で何度も繰り返される。

志乃さんと、並んで立っていた要さん。

そして……血のついた拳。

『要が助けてくれただけ』

そう言っていたけれど。

あの距離感も、あの空気も……

とても“ただのトラブル”には見えなかった。

胸の奥が、じんわりと痛む。

要さんがいなくなってから、しばらく私はそこで立ち尽くしていた。

行き場のない気持ちを抱えたまま……

「花音様……」

後ろから、優しい声がした。

振り返ると、迅さんが立っていた。

「迅さんっ!あの……さっきはお見苦しいところをお見せして……」

控え室でのこと……

ほろ酔いだった私は泣いて迅さんにすがってしまっていた。

子供のように……情けないな。

なのに迅さんは優しく私を宥めてくれて。

その手が温かくて安心してしまい、そのまま寝てしまったんだ。

「本当に申し訳ありませんでした……」

不甲斐なさに顔を上げられない。
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