完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
「とんでもございません、謝る必要なんてありませんよ」
「でも……獅堂家の人間になる者がこんなんじゃ恥ですよね……」
「花音様は何事にも真剣に一生懸命向き合ってこられました、何も恥じることなどございません。きっと要様も同じ思いだと思います」
「そうだといいのですが……」
要さんのことを考えると、さっきから落ち込んでしまう。
迅さんはそれに気づいているのかいないのか、穏やかな表情のまま言った。
「先程の控え室でも、ご自分が花音様の面倒を見るとおっしゃって……」
あの時……目を覚ました時。
すぐ近くに、要さんがいて心臓が止まるかと思った。
迅さんが側にいてくれたはずなのに。
ソファに座ったまま、少しだけ頭を傾けて……静かに、眠っていた。
普段は絶対にできないけれど、じっくり顔を見てしまった。
長いまつげに綺麗な鼻筋……
あんなに冷静で近寄りがたい人なのに、その寝顔は少しだけ幼く見えて。
かわいい、なんて思ってしまった自分に、驚いた。
それに……
あの方は、ずっとそばにいてくれた。
「面倒を見る」と言ってくれた通りに。
胸が、ほんのりと温かくなる。
「要さんにもご迷惑をおかけして……」
「要様も迷惑だなんて感じていませんよ」
迅さんがにっこりと微笑む。
「花音様はもっと私達に頼って頂きたいのです」
一瞬だけ、言葉を選ぶように間があった。
「……少なくとも、私はそう思っております」