完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

優しいから迅さんはそう言ってくれるけど、要さんは……迷惑じゃないかな。

さっきも素っ気ない態度だった気がする。

私は思い切って口を開いた。

「あの……先ほどのことですが」

「はい」

「要さんの手の怪我が気になって……何があったのか教えていただけませんか?」

ほんの一瞬だけ、間があった。

けれどすぐに、いつもの柔らかな笑みに戻る。

「大したことではございません」

「でも……」

「ご心配には及びませんよ」

やんわりと、遮られる。

それ以上は踏み込ませない、そんな空気だった。

「……そう、ですか」

それ以上聞くことはできなかった。

志乃さんの隣にいる姿が、頭から離れない。

あの人のために、怒っていたように見えたから。

私には見せたことのない顔で。

胸が、ぎゅっと締め付けられる。

要さんが誰かの為に怒っている姿が、こんなにも辛いなんて。






翌朝、まだ少しぼんやりした頭で、身支度を整えていると――

「おはようございます。花音様」

紬ちゃんの声がした。

「おはよう!」

「……昨日の件で、少しお伝えしたいことがございます」

「昨日の……?」

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