完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
声をかけると、要さんは顔を上げた。
そして、いつもの穏やかな笑顔。
「おはようございます。昨日の疲れは取れましたか?」
「は、はい……」
この人が……昨日あんな顔をしていたなんて。
でも、ふと思う。
あの時の要さんも、今の要さんも、どちらも本当の姿なんじゃないかって。
だったら……
私はどちらも嫌いじゃない。
新聞に載るかもしれないのに、要さんはいつも通りで。
まるで何もなかったかのように振る舞っている。
しかしその話題を出せるはずもなく、結局当たり障りのない学校の話をしているうちに、車は学校へと到着した。
なんだか門の周りが、いつもより騒がしい気がする。
車を降りる前に要さんが急に顔を近づけてきて、思わずどきっとした。
「えっあのっ……!?」
「降りたら、俺の側から離れんな」
「……え?」
「いいな?」
意味がわからないまま、要さんが車を降り、私も急いで降りた。
その瞬間……
ざわっ――
空気が一気に変わる。
周りから一斉に集まる視線に、思わず足が止まった。