完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
その日は一日注目の的で、廊下を歩けばひそひそと生徒たちが噂話をしていた。
朝に要さんが言ってくれたから私に直接聞いてくる人はいなかったけど、なんだか疲れた一日だった。
そして放課後。
朝と同じように送迎車に乗り込んだ時だった。
「あっ……!」
思わず声が出た。
「どうしました?」
要さんが本から顔を上げる。
「明日……語学のテストがあるの忘れてました……!」
頭が真っ白になる。
色んなことがありすぎて、すっかり抜けてた……
「……お前らしいな」
呆れたように呟かれて、余計に落ち込む。
「すみません……」
「範囲は?」
「結構広くて……」
小さく答えると、要さんは少し考えてから口を開いた。
「……帰ったら教えましょうか」
「えっ……?」
思わず顔を上げる。
「で、でも要さんお忙しいんじゃ……」
昨日のこともあるし……
「少しくらい構いません。花音さんが明日困るんじゃないですか?」
「……はい」
「じゃあ決まりですね」
それだけ言って、また本に視線を戻した。
……なんで、こんなに優しくしてくれるんだろう。