完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
屋敷に戻り、夕食を終えたあと。
私は自分の部屋で参考書片手にそわそわしていた。
夕食後に要さんの部屋に来ていいって言われたけど……
なぜかとても緊張している。
要さんの……部屋か。
私が間違って入ってしまった日以来だ。
今回は迷わず部屋までたどり着くことができた。
コンコン、とノックをする手が少し震える。
「どうぞ」
中に入ると、落ち着いた香りと静かな空間が広がっていた。
大人っぽい部屋に、少しだけ緊張が強まる。
「失礼しまぁ……す」
「そこに座って」
ソファを指され、慌てて腰を下ろす。
すぐ隣に、要さんが座った。
近い……!
「で?何が苦手?」
「明日はフランス語のテストで……そこが一番不安で」
「他は?」
「英語ならなんとかなりますが他は……」
それに対して要さんが、
「まぁ、そうだろうな」
と苦笑いを見せた。
参考書を開きながら、淡々と説明が始まる。
「ここは基本文法だから。これが分かってないと応用は無理だな」
横から覗き込まれるたびに、距離が近くなる。
ペンを持つ手がすぐそばにあって……時々、触れそうになる。
む、無理……集中できない……