完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
「でも……要さんのことを知るたびに……隣に立つのにふさわしい人になりたいと思ったのも本当です」

要さんは何も言わず聞いていてくれる。

「だから……私の事捨てないでください……」

静かな部屋に、その言葉だけが落ちた。

だって……私じゃなくてやっぱり志乃さんを選ぶんじゃないかって心配で。

一瞬の沈黙。

「……は?」

要さんが少し呆れたように息をつく。

「捨てるわけないだろ……そんなこと考えてたのか?」

少しだけ眉をひそめながら言う。

「花音さんは……」

一瞬、言葉を止めてから。

「俺の側にいればいい」

そう言って優しく私の頭に手を置いた。

ふわりと撫でられる。

驚いて顔を上げると……近い。

思っていたより、ずっと近くに要さんの顔があった。

「そんな顔するな」

低い声でそう言われる。

どんな顔……?

わからないまま視線を逸らせなくなる。

「おい……キスするぞ」

「ふえっ!?」

一瞬、頭が真っ白になる。

ドッターン!!

「花音さん!?」

……驚いてソファから落ちてしまった。

恥ずかしすぎて、穴があったら入りたいと思うのはこのことだ。

顔が一気に熱くなる。

心臓がうるさすぎて、まともに息もできない。

上から呆れたような声が落ちてくる。

「……なにやってんだよ」

「あはは……」

「本気でするわけないだろ」

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