完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
ふわり、と意識が浮かび上がる。
「――……」
かすかに、声が聞こえた。
……あれ?
目を開けると、知らない天井……
あ……要さんの部屋だ。
さっきまでのことを思い出して、一気に顔が熱くなる。
わ、私……そのまま寝ちゃって……!
体を起こそうとした、その時。
低い声が、はっきりと聞こえた。
「……悪いな、今日は顔出せない」
え……?
さっきまでとは全然違う声。
優しい要さんの声じゃない。
冷たくて、どこか張り詰めている。
思わず息を潜める。
部屋の明かりは落ちていて、カーテンの隙間から月明かりが差し込んでいる。
声は……ドアの向こうからだった。
要さん……誰かと話してるの?
そっとベッドを降り、足音を立てないようにゆっくりと歩く。
ドアの前まで来て、ほんの少しだけ隙間を開けた。
デスクに座り、誰かとパソコンで話をしている要さんの背中。
お仕事関係の人……?
要さんはまだ高校生だけど、お父様のお仕事のサポートをしてると聞いていた。
でもその横顔は――
さっき見ていた人と、まるで別人だった。