完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
数秒、静まり返る寝室。

「……これは」

珍しく、言葉が詰まっている迅さん。

「違うんですっ!!」

慌てて立ち上がる。

「昨日そのまま寝てしまって……!べ、別にやましいことなんかっ……」

何を言ってるのか自分でも分からない。

迅さんは一度目を伏せてから、ゆっくりと顔を上げた。

「……そうでしたか」

穏やかな声だけど……ほんの一瞬だけ。

その目が、いつもと違った気がした。

「要様」

静かに呼ぶ。

「……なんだ」

「お時間です」

淡々とした口調だけど、その奥にわずかに何かが滲んでいる。

「わかってる。少し遅れただけだろ」

「花音様を……あまり困らせないでください」

……え?

一瞬、空気が変わる。

要さんが、ふっと笑う。

「困ってんのはそっちだろ」

「……いえ」

迅さんは一歩下がる。

「花音様がよろしければ、私は何も」

何かが、引っかかるけど……分からない。

「高野も花音様を探しているはずです」

いつもの調子に戻った声。

「あ!そうだ……紬ちゃんに何も言ってなかった!」

「花音様、こちらへ」

「は、はい……!」

慌ててベッドを降りる。

部屋を出る前に、ちらっと振り返ると。

要さんがこちらを見ていた。

その目が少しだけ優しくて、ドキッとする。

「……あとでな」

小さくそう言われ、胸がまたうるさくなった。

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