完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
心臓が大きく跳ねる。

「獅堂家のためじゃなく……俺が嫌なんだよ」

「……本当ですか?」

「他の男に触らせたくない」

「……」

視線がぶつかり合う。

ドキドキが、うるさくて鳴り止まない。

「わかったな?」

「えっあ……」

「返事は」

「は、はいっ……」

やっと我に返ったような気分。

私、さっき要さんと……キス、しちゃったの?

「……教室に戻るぞ」

「……」

ぼーっとしている私の頬を、要さんが指でつまむ。

「いたっ!」

ふっと鼻で笑い、私の顔を覗き込んだ。

「そんなに良かったのか?」

何を言ってるの!?要さん!

顔が一気に熱くなった。

絶対赤面しているだろう。

「良かったってっ……」

「こんなんで惚けてたら……これから大変だろ」

「惚けてません!」

「その顔」

目の前で指を差される。

「人前で見せんなよ」

「え!?」

思わず両手で顔を覆う。

「特にあいつ……早乙女の前では」

「……見せません」

「絶対な?」

念を押すように言って、背を向ける。


――他の男に触らせたくない

その言葉が、何度も頭の中で響く。

あのキスは、婚約者だから……?

それとも……

わからない。

わからないのに……

なぜか少しだけ嬉しくて。

そして、同じくらい苦しかった。
< 188 / 252 >

この作品をシェア

pagetop