完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
「急に呼び出して悪い」
要さんが軽く言った。
「いえ……何かあったんですか?」
そう聞くと、ほんの少しだけ間があった。
そして無言で近づくと、私を抱き寄せた。
「わっ……」
「やっと二人きりになれたな……」
その一言に、胸がまた小さく揺れる。
「そうですね……」
抱きしめる腕に力が入る。
「今だけこうさせて」
要さんが甘えるなんて珍しい……
私は要さんの胸の中で、静かに頷いた。
シャンプーの匂い?
強く抱きしめられてるし、いい香りで頭がクラクラしてくる……
その時だった。
「失礼いたします」
紬ちゃんがノックしたので、私たちは勢いよく離れた。
紅茶を運んできた紬ちゃんは私たちを見て、どこか楽しそうに微笑みながらカップを置いた。
「お二人とも、夜更かしはほどほどにしてくださいね?」
「うんっ……ありがとう!」
「では、ごゆっくり」
軽く頭を下げて、部屋を出ていった。
扉が閉まると、再び静けさが戻る。
ふわりと、紅茶の香りが広がった。
「……」
二人とも何事もなかったように、向かい合う形で座る。
急に抱きしめられてびっくりした……
嬉しいけど……要さんの変化にまだついて行けない自分がいる。