完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
小さく頷いて、少しだけ力が抜ける。
張りつめていたものがほどけたみたいで……
「安心した顔するな、傷つく」
拗ねたような表情に、思わず笑ってしまった。
「してませんよっ」
「してる」
そう言いながら、もう一度軽く引き寄せられる。
胸に顔を埋める形になり、規則正しい鼓動がすぐ近くで聞こえた。
トクン、トクン、と。
少し早い気がするのは、気のせいじゃないかもしれない。
「……要さん」
「ん?」
「……ドキドキしてます?」
聞いてしまったあとで、恥ずかしくなる。
「……してるに決まってんだろ」
でもあっさり返されて、余計に心臓が跳ねた。
「お前のせいでな」
「……っ」
顔が熱くなり、そのままそっと頭を撫でられる。
優しくて、落ち着く手つき。
穏やかな空気が流れる。
「……こういう時間、嫌いじゃない」
ぽつりと呟く声は、どこか遠くを見ているみたいだった。
「何も考えずにいられるから」
「……」
静かで、落ち着いた夜の中で。
要さんが、ゆっくりと息を吐いた。