完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
そして、その中央。

「……花音」

視界の先に、花音がいた。

志乃と一緒に、数人の男たちに囲まれている。

俺と目が合うと、首を横に振っていた。

まるで〝来るな〟と、言わんばかりに。

さらに……

「親父……」

獅堂家当主である親父と、祖父までもが拘束されていた。

その近くには、志乃の父親の姿もある。

誰もが緊張した表情で動けずにいた。

その中心に立っていた男が、ゆっくりこちらを向く。

「……久しぶりだな、要君」

威圧感のある声に整えられた髪、高級なスーツ。

だが、その目だけは狂気じみていた。

早乙女宗一郎(そういちろう)――

アルティウスのトップであり、早乙女大我の父親だ。

「……随分と派手な真似をしますね」

呼吸を整えて言うと、宗一郎はふっと笑う。

「派手? これは挨拶だよ」

その後ろでは、アルティウスの連中が銃や刃物を持って周囲を固めていた。

迅もすぐ隣へ並ぶ。

だが下手に動けば、花音たちが危険だ。

「……離してください」

花音が睨むように言う。

拘束されているのに、その目だけは全然怯えていなかった。
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