完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
「困らせてしまい、申し訳ありません」

ふっと微笑んで一礼する。

「いえ……迅さんのお気持ち、大事にしたいです……でも……私は要さんのことが大好きです。……愛しています」

少し恥ずかしい気持ちで、薬指の指輪を触る。

「はい……それはもう……百も承知しております」

「すみません……」

「とんでもないです。……本当に花音様は……人の心を動かすのがお得意ですね」

そう言って迅さんが優しく笑ってくれたのでホッとした。

いつからか気付いていた、迅さんの私への想い。

それに答えることはできないけど、いつも通りの迅さんに戻り、少し安心した。

「では……外へご案内いたします」

私は頷き、迅さんの後に続いた。

邸宅の外へ出ると、夜風が熱くなった頭を少しだけ冷ましてくれた。

先ほどとは違う緊張感が漂っている。

遠くで警備員の声が聞こえ、まだわずかにざわめきが残っていた。

広大な庭の少し歩いた先で、迅さんが足を止める。

近くのガゼボで、要さんが誰かと座って話をしている姿が見えた。

黒めの服を着た姿の男が二人。

一人は眼鏡をかけた落ち着いた雰囲気の男性。

もう一人は、明るい茶髪でどこか軽そうな空気を纏っていた。

「……?」

誰だろう。

「心配しなくても大丈夫です。あの方たちは味方ですから」

迅さんが私の耳元でそっと囁く。

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