完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

そして――

「……その通りだ」

短く、答える。

「どうして……教えてくれなかったんですか?私じゃ力不足だからでしょうか」

要さんのお父様がゆっくりと首を横に振る。

「いや……お前を巻き込みたくなかった、それだけだ」

その言葉に、要さんは唇を噛んだ。

「だが……守りきれなかったものもある」

静かな声。

「それは……お前の母、麗子(れいこ)だ」

夜風が、庭を通り抜ける。

「我々が内部から崩すために動いていることは、彼女も知っていた。だが……ある日、偽の情報を掴まされた」

要さんの目がわずかに揺れる。

「アルティウスが流した。“獅堂は再び我々と手を組んだ”と。それに対して麗子はな……私を疑った」

「……っ」

「いや、疑ったというより……信じようとしなかった」

胸の奥が軋む。

「裏切りだと、思い込まされた。最後まで、私を信じたいと言っていた。だが……真実を確かめる前に……」

言葉が途切れる。

要さんのお父様の肩が、ほんのわずかに落ちた。

「……自ら、命を絶った」

空気が凍った気がした。

こんなに辛い話はない。

要さんはどんな思いで聞いてるんだろう……
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