完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
「あの子も……昔から真っ直ぐな目をしていた。きっと良い跡取りになると思っていたんだが」
「はい……大変なことかもしれませんが、大我さんならきっと立て直せるはずです」
要さんのお父様がゆっくりと頷いた。
風が吹き、遠くでまだ警備の声が聞こえる。
でもこの場所だけ、時間が少し静かに流れているようだった。
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夜の庭を抜け、獅堂家へ戻る車の中は静かだった。
先ほど知った真実が、まだ胸の奥に重く残っている。
要さんのお母様が、アルティウスの偽情報によって心を壊され、最後まで要さんのお父様を信じながら亡くなられたこと。
やっと事実が分かったのに、それでも……胸が痛かった。
「……すれ違ったままだったなんて」
小さく呟くと、要さんが視線を向ける。
私は続けて言った。
「きっと、お互いにとても辛かったですよね」
真実を確かめる前に、疑いが入り込んでしまった。
信じたいのに、信じられない。
その苦しさは、想像するだけで胸が締めつけられる。
要さんは「ああ」としか言わなかったけれど、その横顔は静かだった。
強く見えるけれど、本当は……きっとたくさん泣いてきたんだと思う。
私は、そっと心に決めた。
この人のことを、もう二度と一人にはしない、と。
私が一生この人の側で、支えていけたらいいなって思った。