完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
獅堂家に戻り玄関を入ると、使用人たちが出迎えてくれた。
その中に紬ちゃんがいて、心配そうな顔をしていた。
「花音様!お怪我はありませんでしたでしょうか!?」
私はそんな紬ちゃんの前で、少し大げさに明るく振舞う。
「大丈夫!ほら、なんともないでしょ?」
「……私、心配で……いてもたってもいられなくて……」
「ごめんね、もう大丈夫。警察も来てくれたから……」
いつも冷静で大人な紬ちゃんが、こんな不安そうな顔をするなんて。
私は紬ちゃんの両手を、ぎゅっと握った。
すると、ホッとしたような表情を見せた。
ここにいる他の使用人たちも、私達を見て安心した顔をしている。
みんなに心配かけちゃったな……
「私達はなんともない。心配かけたな……もう遅いから各自部屋に戻ってくれ」
要さんがそう言うと、使用人たちが一礼した。
その後私の手を掴んで再び歩き出す。
終始無言で歩き、私の部屋の前で足が止まった。
「……あー」
小さく、困ったように息を吐く。
「……抱きしめてぇな」
「え……?」
思わず瞬きをする。
要さんは視線を廊下に向け、周囲を確認するように一度見渡した。
「いや、違う」
すぐに言い直す。
「抱きしめたいですね」
その言い方が少しだけ照れていて、胸がきゅっとなる。