完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
「今は周りに誰もいませんよ」

小さくそう言うと、要さんの目がこちらを向いた。

「それ、誘ってる?」

「えっ、そんなつもりじゃ……!」

言い終わる前に、腕が伸びる。

強く、でも優しく。

気づけば、要さんの胸の中にいた。

鼓動がすぐ近くで聞こえる。

早くて、少しだけ乱れている。

「要さん」

呼ぶと、彼はすぐにこちらを見る。

私はまっすぐに言った。

「私は、要さんのそばを離れません」

少しだけ息を吸う。

「要さんのお母様のことも……今日のことも……全部、これから一緒に背負います」

言い切った瞬間、胸が熱くなった。

これは勢いじゃない。
ちゃんと考えて出した言葉。

要さんの隣に立つと決めたから。

要さんは一瞬、何も言わなかった。

でも、その目は優しく揺れていた。

「今日くらいは我慢しないで言うけど……本気で怖かった。花音を失うかもしれないと思ったから」

その言葉に、私の心が震える。

あの戦いの中で、どれだけの想いを抱えていたんだろう。

「私はそう簡単にいなくなったりしません……」

「ああ、そうだよな」

腕に力が込められる。

「もう、離れるな」

命令みたいだけど……本音がそのまま出ている声。

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