完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
私は、そっと背中に手を回した。

「離れません」

静かに、もう一度。

「ずっと、隣にいます」

その瞬間、要さんの腕がわずかに強くなった。

でも、決して痛くない。

ただ、守るみたいに。

さっきまでの嵐のような一日が、少しずつ遠ざかっていく気がした。

「本当は親父が憎かった。母が亡くなっても顔色一つ変えずに過ごしていたから」

「はい……」

「でも……やっとわかった。心の中で辛くても表に出せなかったことを。獅堂家の当主としてそうであったから、ここまでうちは強くいられたんだよな」

その言葉に、私は小さく頷いた。

「要さんのお父様も、相当苦しんでこられたはずです。それを要さんの前で一度も見せずにきたんですから、本当にすごい方ですよね……」

「はぁ……。俺だったら無理だな。親父みたいに全部隠して立つなんて」

苦笑いを見せながらため息をつく。

「そんなことありません!私の前では〝完璧な獅堂要様〟じゃなくていいんです」

「それじゃ駄目だろ」

「いいえ、要さんの足りない分は私が補えるように努力します!」

「花音……」

「要さんの側に……一生いますから。だから、どうか何があっても一人で抱え込まないでください」

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