完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
要さんが吐き捨てるように言った。
「本音はクソくらえだ。親父たちが何隠してんのか、全部暴く」
私はそっと本棚の陰から覗くことができた。
要さん……嘘でしょう……。
あの完璧王子が……?
私に向けていた優しい表情とは、まるで別人だった。
その時。
ぎゅるるるる……
ごぉぉお……
全身の血の気が引いた。
お、お、お、お腹が鳴ったぁあああ!
しかも長くて大きい。
静かな部屋にははっきり響き、空気がぴたりと止まった。
要さんの声が低く響く。
「……迅」
「はい」
「今の音」
「ええ」
短い沈黙。
椅子がゆっくり動く音がした。
足音が近づいてくる。
一歩。
また一歩。
本棚のすぐ前で止まった。
「……そこにいるのは誰だ」
低くて、冷たい声。
いつもの優しい声とはまるで違う。
峰山さんが小さく言う。
「聞かれた可能性がありますね」
もう隠れていられない。
私はぎゅっと目を閉じて、本棚の陰から顔を出した。
「……あはは」
引きつった笑いが出る。
要さんの目が、ゆっくり見開かれた。
「……花音、さん?」
「えっと……すみません、迷ってしまってダイニングルームだと思って、それで……」