完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
要さんはまだ私を見ていた。
「花音さん」
はっと顔を上げる。
「……本当に、迷っただけ?」
その声は低いままだけど。
さっきより、少しだけトーンが落ちていた。
私は必死に頷く。
「ほ、本当です……!紬ちゃんにダイニング教えてもらったんですけど、右に二回曲がって左に二回って言われて……!」
言いながら、またお腹が
ぐぅ……
と小さく鳴った。
私は真っ赤になった。
もう……なんでこんな時に私のお腹は……
峰山さんが、ふっと顔を逸らす。
どうやら笑いを堪えている。
要さんは、しばらく黙って私を見ていた。
そして……小さくため息をついた。
ゆっくり、銃を下ろす。
「……迅」
「はい」
「とりあえず銃しまえ」
要さんは少し眉を押さえた。
峰山さんが静かに頷き、手にしていた銃を懐に戻した。
部屋の空気が少しだけ緩み、要さんがゆっくり私の方へ歩いてくる。
そして、小さくため息をもらした。
「……はぁ」
ゆっくりと近づいてきて、私の目の前で止まる。
「いいか」
声が低く落ちる。
「さっきのこと……聞こえてただろ?」