完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
その時、隣から視線を感じた。

要さんだ。

ちらっと見ると……微笑んでいる。

でも、目だけがすっと細くなった。

そしてほんの少しだけ睨まれた。

ひぃ……!

私は慌てて俯いた。

その時、要さんが口を開いた。

「父さん」

それはとても穏やかな声で。


「花音さんは……」


一瞬、間を置く。

嫌な予感がする……なにを言うの!?


「初めての場で緊張してるんじゃないでしょうか」

「おお、それもそうか。私たちも気が利かなくてすまないな」


要さんのおじい様も続けて「ゆっくり食べなさい」と、和やかな雰囲気になる。


「あ……ありがとうございます……」


何を言い出すかと思えば……よかった。

こんなにいい人たちなのに、裏があるの?

さっき要さんと峰山さんが言ったことが頭をよぎる。


「早く食えよ」

その時隣から小声で聞こえてきた。

顔を上げると、要さんが平然と食事をしている。

今、またさっきみたいな口調だったよね……

思わず背中がぞくっとする。

でもここで動揺していられない。

私はそっと料理を口に運んだ。

……味が全然わからない。

何を食べても美味しく感じられなかった。

< 39 / 57 >

この作品をシェア

pagetop