完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
朝食を終えると、紬ちゃんに案内されて屋敷の奥へ向かった。
「ここが厨房です」
紬ちゃんが扉を開けると、中は想像よりずっと広かった。
大きな調理台、並ぶ鍋やフライパン。
そして、一人の男性がコンロの前に立っていた。
白いコックコート。
袖を少しまくり、手際よく調理器具を並べている。
見た感じ、私より少し年上くらいの人なんだけど……最初の挨拶の時、なんだか無愛想だったから少し心配。
「相沢さん」
紬ちゃんが声をかけると、男性がちらっと振り向いた。
「……はい」
やっぱり、ちょっと不機嫌そうな声。
紬ちゃんは淡々と続ける。
「花音様が参りましたので、お願いします」
「あ、あのっ今日からよろしくお願いいたします!」
数秒の沈黙。
相沢さんが私を上から下までゆっくり見て、ものすごく嫌そうな顔をされた。
紬ちゃんが一礼して下がると、急に気まずい雰囲気に。
ああ……どうしよう。
すると相沢さんが深いため息をついた。
「はぁ。なんで俺が料理指導なんか……聞いてねぇよ」
完全に不満そう。
そして私を見てぼそっと言う。
「……ガキのお守りじゃねぇかよ」
私は慌てて頭を下げた。
「すみませんっ精一杯頑張ります!」
相沢さんは少し眉をしかめる。