この先もずっと願っているよ
「みんな、外で待ってるみたいだよ」
「本当だね。結構多いね」
「なんか祝う物持ってくればよかったなぁ」
「私たちは気持ちで勝負しよ」
「おぉ!気持ちなら誰にも負けないぞ!先輩にお世話になったランキングナンバーワンな私だからね」
「先輩達よく真由美のお世話逃げ出さずにやったよ…」
真由美は写真部の中でもかなりの迷惑を…いやまた前の元気を発揮し、よく先輩達を悪い意味で動かしていた。
「ちょっと待って!メールきたから確認するね」
そう言って携帯を取り出し、確認する真由美。
今こうして、笑い事にできて良かった。当時は同じ写真部としてもう一緒に居られないかも…。と思うくらいかなり心配した。けれど、真由美は一年生のなかでより多くの賞をとったため、なんとか部活に残り、二年生も写真部としていられるようだ。
「あっ!先輩達きた」
誰かの声にみんなが各々クラッカーや、祝いの言葉を言う。
「茅!写真部の先輩達も来たよ!いこー!」
「メッセージちゃんと確認できた?」
「うん!」
笑顔でそう言って、玄関から出てきた先輩達を祝いに走った。私も後についていって、先輩達の元へ行く。
「せんぱーい!!おめでとうございます」
「おめでとうございます」
「ま、真由美ちゃん!と茅ちゃん」
「なんで驚くんですか?」
「いや、ねぇ」
遥先輩が周りにいた彰先輩や菜々先輩達と目を合わす。わかる。その気持ちすごいわかる。
「まぁ、いいや!とりあえず今までお世話になりました!」
「真由美ちゃん!」
「成長したな〜」
「うんうん、これからも学校頑張ってね。真由美さん、茅さん」
「はい…!先輩達も頑張ってください!応援してます」
「私も、頑張ってもっと賞状とりまーす!」
「勢いはいいけど、ちゃんと周りをみてね」
笑いが溢れる。今までと変わらない、このやり取りが心地いい。先輩達が卒業したら、この会話も滅多に出来なくなるんだよね……。そう思うと寂しさが湧いてくる。
「じゃぁ、私たちはそろそろ行くね」
「えぇ……もう行っちゃうんですか?」
「このメンツで、卒業最後に出かけるんだ」
「へぇー!いいですね!楽しんでください!」
「えぇ、高校生最後を楽しむね」
そうして、去っていく先輩達に手を振ると、何か思い出したかのように、彰先輩が振り返った。
「真由美ちゃん!あの件、よろしく!」
「任せてください!」
彰先輩が、真由美にお願いする件ってなんだろう?うーん。まぁ、いっか。
去っていた先輩達の笑い声が、まだ聞こえてくる。あそこまで仲良い先輩達が羨ましい。
「–––尚人先輩!おめでとうございます!」
「‼︎」
ドキッとする。自分が呼ばれた訳でもないのに……。でも、それは好きな人の名前だから。だから、不覚にも反応してしまったんだろう。いや、もう諦めるって決めたのに……。
「真由美……私たちも早く、遊びに行こ」
「え?急にどうしたの」
私たちがいる玄関前は、今は人が多くてとても賑わっている。だから、興味がない真由美には尚人先輩がいることになんて、気づいていないんだろう。
「どうしたもこうしたもないなら!お願い!」
「えぇ…私、まだ学校にいたいよ〜」
「本当にお願い!真由美が言ってたメイクもちゃんとするから!」
「本当!あんなに嫌がってたのに!心境が変わらないうちにいくぞー!!」
「おー!」
早くここから立ち去りたくて、真由美と競走して走った。
だから、結局私は尚人先輩には何も言わずに、さよならした。